『マツコの知らない世界』で紹介されていた「山形ラーメンの世界」。冷やしラーメンや辛味噌ラーメン、地元に愛される名店の数々を見て、「これは一度食べに行ってみたい!」と気になった方も多いのではないでしょうか?
実は山形は、ラーメンの外食費が全国トップクラスという日本屈指のラーメン王国。市町村ごとに個性あふれるラーメンが根付いていて、旅のプランにラーメンを組み込むと、食と観光がいっそう楽しくなるんです。
この記事では、そんな山形ラーメンを本気で味わい尽くすために、日帰り・1泊2日・2泊3日の観光モデルコースを分かりやすくご紹介します。さらに、移動のコツや映える写真の撮り方、ラーメンマップの活用術まで、「ラーメン旅初心者」でも安心して満喫できる内容になっています。
テレビをきっかけに気になった山形ラーメンの世界──
今度の旅は、食べることを目的にしてみませんか?
山形ラーメン入門:なぜ「ラーメン王国」なのか?冷やし・辛味噌・米沢・酒田の基礎知識
冷やしラーメン誕生の背景と名店
山形のラーメン文化を語るうえで外せない存在が、「冷やしラーメン」です。冷やし中華とは異なり、これは正真正銘“冷たいスープのラーメン”。発祥は山形市にある老舗「栄屋本店」で、1952年(昭和27年)に誕生しました。きっかけは「夏に熱いラーメンを食べるのがつらい」という常連客の声。それに応えた店主が、試行錯誤を重ねて冷たいスープのラーメンを開発したのが始まりです。
冷やしラーメンは、動物系と魚介系の旨味を効かせた冷製スープに、コシのある中太麺が絡み、トッピングにはチャーシュー、メンマ、きゅうり、トマトなどがのります。スープの表面には脂が薄く浮いており、冷たさの中にもコクがあります。
栄屋本店では、毎年夏になると全国からこの名物を求めて観光客が訪れます。冷やしラーメンは山形の“涼を味わうご当地ラーメン”として、今では県内の多くの店で提供されていますが、本家の味は一度は試しておきたいところです。
夏季に山形を訪れるなら、必ず食べておきたいご当地の一杯。それが冷やしラーメンなのです。
辛味噌の聖地・赤湯(龍上海)を知る
山形ラーメンのもう一つの名物が「赤湯辛味噌ラーメン」です。その代名詞となっているのが、南陽市赤湯に本店を構える「龍上海(りゅうしゃんはい)」です。昭和33年創業のこのお店は、もともと醤油ベースのラーメンを提供していましたが、あるとき試作として作られた“辛味噌”をラーメンにのせたところ大ヒット。現在では山形県全体に名を轟かせるご当地ラーメンへと成長しました。
龍上海のラーメンは、豚骨や魚介ベースのこってりとしたスープに、手もみの太縮れ麺。そして何より特徴的なのが、中央にのせられた赤い「辛味噌」です。これを溶かしながら食べることで、スープの味わいがどんどん変化していき、旨味と辛味が広がっていくのが魅力です。
現在ではセブンイレブンなどでカップ麺としても販売され、全国的な知名度を得ていますが、やはり本店で味わう一杯は格別。特に週末や連休中は行列必至なので、早めの訪問がおすすめです。
赤湯は温泉地としても知られており、ラーメンを楽しんだあとは温泉でのんびりするという贅沢なプランも人気です。
米沢ラーメンのあっさり醤油と細ちぢれ麺
山形県の南部に位置する米沢市には、「米沢ラーメン」という独自のラーメン文化があります。米沢ラーメンの特徴は、なんといってもあっさりとした醤油味のスープと、極細の縮れ麺です。鶏ガラをベースに、煮干しや野菜などの出汁が合わさったスープは非常にやさしい味わいで、どこか懐かしさを感じさせます。
このラーメンが誕生した背景には、戦後の物資不足が関係しています。米沢では食材が限られていたため、比較的入手しやすい素材でシンプルなラーメンが作られるようになりました。その結果、今の米沢ラーメンのスタイルが生まれたのです。
特に地元で有名な「ひらま」や「熊文」などの老舗は、県内外から訪れるラーメンファンでにぎわっています。朝から営業している店も多く、観光ついでに「朝ラー」を楽しむことも可能です。
こってり系ラーメンとは違い、胃にやさしい米沢ラーメンは、旅の途中でも食べやすく、年配の方や子どもにも人気です。
酒田ラーメンの魚介だしと自家製麺文化
山形県の日本海側、庄内地域に位置する酒田市には、「酒田ラーメン」という独自のスタイルがあります。魚介系の出汁をベースにしたスープと、手作りの自家製麺が特徴です。スープには煮干し、昆布、干し椎茸、時には飛魚(あご)などが使われ、深みのある味わいを生み出しています。
もう一つの大きな特徴が、圧倒的な自家製麺率です。酒田のラーメン店の多くは、自家製麺を採用しており、麺の太さやコシに独自のこだわりを持っています。スープとの相性も抜群で、最後の一口まで飽きずに楽しめます。
有名店としては「ワンタンメンの満月」が特に知られており、その極薄のワンタンは、口の中でとろけるような食感です。庄内エリアにはこうした名店が点在しており、ラーメンを目的に訪れる観光客も増えています。
酒田は山居倉庫や海鮮市場など観光スポットも多く、ラーメンと一緒に地域文化を味わえるのが魅力です。
データで見る山形のラーメン愛(支出額・店舗数の話題)
山形県は、実は「ラーメン王国」として知られており、総務省の家計調査でも「ラーメン外食費支出額」が全国トップクラスであることが知られています。例えば山形市は何度もこのランキングで1位を獲得しており、人口あたりのラーメン店舗数でも全国上位に位置します。
その背景には、地域ごとに異なるラーメン文化が根付いていること、そして地元住民が日常的にラーメンを楽しむ「日常食」であることが挙げられます。また、山形は寒冷地であるため、あたたかいラーメンが体を温める「生活の一部」として愛されてきました。
さらに、山形県内には「ラーメンマップ」が存在し、観光案内所や飲食店で配布されています。これを使えば、初心者でも効率よくご当地ラーメンをめぐることが可能です。加えて、スタンプラリーや期間限定のラーメンイベントも開催されており、ラーメンファンにとってはまさに聖地ともいえる地域です。
こうした数字と取り組みからも、山形県が本物の「ラーメン王国」であることがよくわかります。
山形ラーメンの食べ歩き観光モデルコース日帰りプラン
山形駅周辺で朝ラー&冷やしの名店へ
山形駅周辺は、山形観光のスタート地点として便利なエリアです。駅ビルや徒歩圏内にはラーメン店が複数あり、なかには午前中から営業している店もあるため「朝ラー」にも対応できます。まず立ち寄りたいのが、冷やしラーメン発祥の「栄屋本店」。山形駅から徒歩15分ほど、観光客にも人気の高い老舗です。
冷やしラーメンは、動物系と魚介系のダブルスープを冷やし、キリッと冷たいまま提供する独特のスタイル。見た目も涼しげで、夏季はもちろん冬に食べても意外とクセになる味わいです。脂が固まらないよう工夫されていて、スープにはコクがありながらもさっぱり。チャーシュー、キュウリ、メンマなどがトッピングされており、まさに“山形の夏”を代表する一杯です。
早い時間に訪れることで混雑を避けられるのもポイント。朝食がわりに軽めのラーメンを楽しむのも山形スタイルの一つです。この冷やしラーメンを皮切りに、1日ラーメン食べ歩きの旅をスタートさせましょう。
山形市内のもう一杯:ワンタン・鶏だし系を食べ比べ
冷やしラーメンのあとに、山形市内でもう一杯楽しむなら、ワンタンメンや鶏だし系のラーメンがおすすめです。例えば「一寸亭(ちょっとてい)支店」や「やまがた辛味噌らーめん こんどう食堂」など、個性豊かな店が点在しています。
ワンタンメンは、薄くのばされた皮が特徴で、口の中でとろけるような食感。スープはあっさりとした鶏ガラ系や魚介系が中心で、麺とのバランスも絶妙です。山形では“ツルっとしたのど越し”を大切にしており、見た目以上に軽く食べられます。
また、辛味噌を使ったスパイシーなラーメンも人気で、赤湯系とはまた違った味わいが楽しめます。これらの店はランチタイムに混雑することが多いため、ピークを少し外して訪れると、ゆっくり食事ができます。
午前中に冷やしラーメン、そしてお昼にワンタンメンと、味のバリエーションを楽しむことで、山形ラーメンの奥深さをより実感できる1日になります。
蔵王温泉で足休め(アクセス&入浴情報)
ラーメンを2杯ほど堪能した後は、少し体を休めたくなるタイミング。そんな時にぴったりなのが「蔵王温泉」です。山形市内から車で約30分、バスでも1時間以内でアクセス可能な山岳温泉地で、強酸性の硫黄泉が特徴。美肌の湯としても知られています。
日帰り入浴が可能な施設も充実しており、代表的な施設には「蔵王温泉大露天風呂」や「川原湯共同浴場」などがあります。特に大露天風呂は、自然に囲まれた開放感あるロケーションで、観光客に人気。露天風呂からは四季折々の風景が楽しめ、リラックス効果も抜群です。
蔵王温泉には土産物店や地元の飲食店も並んでおり、ぶらぶら散策するだけでも心地よい時間が過ごせます。ラーメンで満たされた胃袋をひと休みさせながら、ゆったりとした時間を過ごすことで、午後の観光もさらに充実したものになります。
温泉でのんびりしたあとは、次の目的地・天童方面への移動もスムーズです。
天童で将棋と麺の小旅行(駅ミュージアム活用)
蔵王温泉でひと休みしたあとは、電車または車で「天童市」へ向かいましょう。山形市からは約30分の距離にあり、「将棋のまち」として全国的に有名です。JR天童駅には将棋駒のオブジェがあり、観光客を迎えてくれます。
駅構内にある「天童将棋交流室」では、実際に将棋を指したり、プロ棋士のイベントが開催されることも。将棋に詳しくなくても楽しめる展示や体験コーナーもあるので、旅の合間にちょっとした知的なひとときを楽しめます。
そして、ここでもラーメンをもう一杯。「水車生そば」では、ラーメンとそばの両方が楽しめる珍しいメニューがあり、そばつゆ仕立ての和風ラーメンが人気。天童はワンタンメンの激戦区でもあるため、「腰掛庵」などの名店もチェックしておきたいポイントです。
観光とグルメのバランスが取れた、満足度の高いエリアとして日帰り旅の終盤にぴったりです。
駅ナカ・空港で買えるお土産ラーメン
旅の締めくくりには、自宅でも山形の味を楽しめる「お土産ラーメン」をチェックしましょう。山形駅構内や山形空港では、冷やしラーメンや赤湯辛味噌ラーメンのご当地袋麺が豊富にそろっています。特に人気があるのは、「栄屋本店監修 冷やしラーメン」や、「龍上海本店公認 辛味噌ラーメン」などの有名店監修商品です。
これらのお土産ラーメンはスープの再現度も高く、自宅でも本格的な味わいが楽しめると評判。また、セット販売されている商品には店舗の紹介リーフレットや作り方の解説もついており、食べながら旅の思い出がよみがえるような設計になっています。
空港や駅以外にも、道の駅や高速道路のSA(サービスエリア)などにも取り扱いがあります。重量もそれほどないため、お土産として持ち帰りやすいのも嬉しいポイントです。
食べ歩きだけでなく、家族や友人にラーメン文化をシェアするアイテムとして、お土産ラーメンはぜひチェックしておきたいアイテムです。
山形ラーメンの食べ歩き観光モデルコース1泊2日プラン
1日目:山形市で「冷やし」中心に2軒ハシゴ
1泊2日の旅のスタートは、山形駅から。まずは旅の幕開けに、山形名物「冷やしラーメン」の本家である「栄屋本店」を訪れましょう。駅から徒歩約15分、老舗の暖簾をくぐると、名物冷やしラーメンが待っています。透き通った冷たいスープに浮かぶ脂、トマトやキュウリのさっぱりとしたトッピングが、旅の疲れを吹き飛ばしてくれます。
その後は、山形駅周辺のもう一軒で異なるスタイルのラーメンを味わうのがコースの定番。おすすめは「一寸亭支店」や「らーめん満び」など。ここでは、温かい醤油ベースのワンタンメンや、辛味の効いた味噌ラーメンなど、冷やしとは対照的な一杯を楽しめます。
2軒ハシゴする際のポイントは、量を調整してもらうこと。店によっては「ハーフサイズ」や「ミニラーメン」を用意しているところもあるため、注文時に相談してみましょう。山形の人々はラーメンに親しんでおり、食べ歩きを歓迎してくれる雰囲気があります。
味の違いや店の雰囲気を比較しながら、自分好みの一杯を探すのも旅の醍醐味。1日目はまず「冷やし」を中心に、山形ラーメンの世界に足を踏み入れましょう。
1日目夜:蔵王温泉に宿泊(夜の散策と外湯)
2軒のラーメンを堪能したあとは、蔵王温泉へ向かいましょう。山形市内から車で約30分、公共バスも運行しており、観光客にもアクセスしやすい場所です。蔵王温泉は強酸性の硫黄泉が特徴で、肌がつるつるになると評判。冷えた体を芯から温めてくれます。
日帰り入浴施設として人気の「蔵王温泉大露天風呂」や、地元の人も通う「川原湯共同浴場」など、気軽に立ち寄れる外湯が豊富。大露天風呂は夜になるとライトアップされ、幻想的な雰囲気の中で入浴できます。
夕食は旅館やホテルの会席料理も良いですが、蔵王温泉街にはラーメン以外の郷土料理を提供する食事処も点在しています。地酒と一緒に、山形牛や山菜料理を楽しむのもおすすめ。
夜は温泉街をそぞろ歩きして、足湯に浸かったり、星空を眺めたりと、ラーメンだけではない「山形の魅力」に触れられるひとときを過ごしましょう。ラーメンの満足感と温泉の癒しが重なる、充実の夜になるはずです。
2日目朝:米沢へ移動して老舗の一杯
翌朝は早めにチェックアウトして、米沢市へと向かいます。蔵王からは車で約1時間、新幹線利用なら山形駅から米沢駅まで約35分ほどで到着します。米沢市は「米沢ラーメン」の本場として知られ、朝から営業しているラーメン店も多く、朝ラーにぴったりの街です。
米沢ラーメンは、鶏ガラと煮干しをベースにしたあっさり醤油スープと、極細の縮れ麺が特徴。代表的な店舗には「ひらま」や「熊文」などがあり、どこも地元の人々に長年愛されてきた名店です。
スープは透き通っていて優しい味わいながらも、しっかりとした旨味があり、体に染み渡る美味しさ。麺は口の中でスルスルとほどけ、何杯でも食べられそうな軽さがあります。胃にもやさしいため、旅の2日目にぴったりのラーメンです。
朝の澄んだ空気の中で、静かな町並みと一緒に味わう米沢ラーメンは格別。観光客にも分かりやすい場所に店があるので、初めてでも安心して訪れることができます。
2日目昼:赤湯で辛味噌(龍上海本店を狙うコツ)
米沢で軽めのラーメンを楽しんだあとは、南陽市・赤湯地区へ移動して、辛味噌ラーメンの元祖「龍上海本店」へ向かいます。米沢から赤湯までは車で約30分、電車なら奥羽本線で南陽市内の赤湯駅までアクセスできます。
龍上海本店は、山形ラーメン界の象徴ともいえる存在。行列が絶えないほどの人気店ですが、狙い目は平日の午前10:30〜11:00頃の早めの来店。開店前から並ぶ人も多く、ピーク時は1時間以上待つこともあるため、スケジュールには余裕をもって行動しましょう。
スープは豚骨と魚介の濃厚なダブルスープに、コシのある中太ちぢれ麺。そして中央に盛られた赤い辛味噌が、食べ進めるごとにスープに溶け込み、味が変化していくのが魅力です。辛味はそこまで強くなく、旨味のあるマイルドな刺激です。
お腹に余裕があれば、チャーシューメンや餃子もおすすめ。店内の雰囲気も落ち着いており、観光客にも丁寧な対応をしてくれます。
2日目午後:高畠・南陽の寄り道&山形空港/新幹線で帰路
赤湯で名物ラーメンを楽しんだあとは、時間があれば南陽市周辺の観光も検討してみましょう。おすすめは、赤湯駅から車で15分ほどの場所にある「高畠ワイナリー」。地元産ぶどうを使ったワインの試飲ができ、お土産選びにもぴったりです。
また、近隣には「烏帽子山公園」など四季折々の自然を楽しめるスポットもあり、散歩や写真撮影にも最適。赤湯温泉街をもう一度歩いて足湯に浸かるのもおすすめです。
帰路のアクセスとしては、山形空港からの便や、米沢駅・山形駅から新幹線での帰宅が一般的。空港へは赤湯から車で約1時間、新幹線利用なら赤湯駅または米沢駅から東京方面へスムーズにアクセスできます。
最後に駅や空港でお土産ラーメンを購入して、自宅でも山形の味を楽しめるように準備しましょう。1泊2日という短い日程でも、山形ラーメンの多彩な魅力と、温泉や観光を満喫できる、非常に満足度の高い旅になります。
山形ラーメンの食べ歩き観光モデルコース2泊3日プラン
1日目:山形市内の定番巡り+夜は地酒と〆ラー
2泊3日の旅の1日目は、山形市内を中心にラーメンの名店を巡るプランからスタートしましょう。午前中に山形駅に到着したら、まずは「栄屋本店」で山形名物の冷やしラーメンを味わいます。創業70年を超える老舗の一杯は、冷たいスープに中太麺、そしてさっぱりとしたトッピングが夏場の体に心地よく染み渡ります。
次に訪れたいのは、「一寸亭支店」や「ケンチャンラーメン山形」など、市内で根強いファンを持つラーメン店です。ケンチャンラーメンは、自家製麺に力強い醤油スープが特徴で、ガツンとした味を求める人におすすめ。一方、一寸亭ではつるんとしたワンタンが絶品で、食べ比べが楽しめます。
夕方からは、市内の地酒バーや居酒屋で山形の日本酒と郷土料理を堪能しましょう。山形は酒どころでもあり、十四代、出羽桜、秀鳳などの銘柄が揃います。シメには駅前で深夜営業しているラーメン店をチェック。例えば「麺辰」や「ラーメン風林火山」などは、遅い時間まで開いていて、〆ラーにも最適です。
ラーメンを中心にしながらも、食と酒のバランスが取れた一日を過ごせます。
2日目:新庄・村山方面へローカル名店探訪
2日目は、山形市を出発して北部エリアである村山地方や新庄市を目指します。新庄は山形の中でもラーメン文化が根強く、地元密着型の個人店が点在しているエリアです。あまり全国的には知られていませんが、「隠れたラーメン聖地」としてじわじわと注目を集めています。
おすすめ店の一つが、新庄市にある「ふくろう亭」。ここでは豚骨ベースに魚介の風味を効かせたスープが特徴で、まろやかさとコクが両立しています。ボリューム満点ながらも飽きのこない一杯で、地元の常連客にも愛されています。
また、村山市周辺には「冷たいラーメン」が定着している店もあり、特に夏場は観光客にも人気です。天童市を経由して向かうルートであれば、途中で将棋博物館や足湯に立ち寄ることも可能。ラーメンと観光を組み合わせて、充実した日中の時間が過ごせます。
都市部の人気店とは違い、ローカルならではの雰囲気と味を楽しめるのがこのルートの魅力。混雑が少なく、ゆっくり味わえる点も嬉しいポイントです。
2日目夜:銀山温泉で大正浪漫の宿泊体験
新庄方面でラーメン巡りをしたあとは、夕方に銀山温泉へ移動しましょう。銀山温泉は大正時代の面影を残すノスタルジックな温泉街で、ライトアップされた木造旅館が立ち並ぶ光景は、まるで映画のワンシーンのよう。SNS映えする美しい町並みが、国内外からの観光客に大人気です。
銀山温泉には、宿泊者専用の内湯や、日帰り入浴ができる共同浴場「しろがね湯」などもあります。お湯は無色透明で柔らかく、旅の疲れを癒してくれます。温泉街には食事処やカフェもあり、昼間にラーメンを満喫したあとは、夜は地元食材を活かした創作和食などを味わいましょう。
また、夜の温泉街を浴衣で散策するのも風情があります。川沿いに灯るあかり、流れる音、静かに響く足音……そんな時間の流れの中で、日常から解き放たれた特別な夜を過ごすことができます。
ラーメン旅でありながら、こうした情緒ある温泉地でゆったりと過ごせるのも、山形旅の大きな魅力のひとつです。
3日目午前:庄内へ移動し酒田ラーメンの黄金スープ
旅の最終日は、日本海側の庄内地方へ移動して「酒田ラーメン」を味わいましょう。銀山温泉からは車で約2時間半とやや距離がありますが、余裕をもって朝出発すれば、午前中には酒田市内に到着できます。
酒田ラーメンの最大の特徴は、魚介ベースのあっさりとしたスープと自家製麺の多さ。煮干し、昆布、干し椎茸などを使ったスープは、やさしい口当たりで、朝でも重く感じません。極薄のワンタンをのせた「ワンタンメン」が特に人気で、「ワンタンメンの満月」などの名店は観光客にとっての定番スポットです。
また、酒田市内には他にも地元密着のラーメン店が多数点在しており、味の系統やスープの深みに違いがあるため、食べ比べも楽しいエリアです。時間に余裕があるなら、2軒巡ってもよいでしょう。
海の香りを感じながらいただく魚介系ラーメンは、旅の締めくくりにふさわしい一杯です。
3日目午後:山居倉庫など庄内観光→庄内空港/山形空港へ
ラーメンを堪能したあとは、庄内エリアの観光名所「山居倉庫」へ立ち寄ってみましょう。明治時代に建てられた米の倉庫群で、今では観光施設や資料館として整備され、写真映えするスポットとしても人気です。白壁の建物と欅並木が美しく、散策に最適な場所です。
倉庫内にはお土産屋や地元の特産品を扱う売店があり、庄内地方の味を持ち帰ることができます。ラーメン旅で胃袋は満足しているかもしれませんが、地酒やお菓子など「飲む」「味わう」お土産選びも楽しい時間になります。
その後は、帰路へ。庄内空港からは羽田便が出ており、約1時間で東京に到着可能です。また、山形空港を利用する場合は、酒田から陸路で約2.5時間ほど移動が必要になります。どちらを使うかは旅程や交通手段に応じて調整しましょう。
2泊3日で県内を縦断するこのプランは、山形のラーメン文化を網羅的に体験できる満足度の高い内容です。海と山、食と温泉を一気に味わえる、大人のラーメン旅の完成です。
旅を成功させる実践TIPS
山形ラーメンマップ&スタンプラリーの使い方
山形県をラーメン目的で巡るなら、必携なのが「山形ラーメンマップ」です。これは山形県内のラーメン店や観光案内所、道の駅などで配布されているもので、地元の人気店が市町村ごとに整理されており、エリアごとの特徴がひと目でわかる便利なガイドです。
マップには各店の営業時間や定休日、店の看板メニュー、駐車場情報なども掲載されており、初めて山形を訪れる人でも安心してプランを立てることができます。また、山形市や天童市など一部の地域では、ラーメンを食べ歩くことでスタンプを集める「ラーメンスタンプラリー」も期間限定で開催されています。
このスタンプラリーは、指定のラーメン店で対象メニューを注文するとスタンプがもらえ、一定数集めると記念グッズや抽選プレゼントがもらえるというもの。観光とラーメンをセットで楽しむための仕掛けとして非常に人気があります。
マップやスタンプラリーの最新情報は、山形県の観光公式サイトや各市町村の観光協会HPで確認できます。旅の前に印刷しておいたり、現地で入手することをおすすめします。旅の記念としても、スタンプ帳はよい思い出になります。
待ち時間を減らす時間帯戦略と回り方
人気ラーメン店を巡る際にネックになるのが「行列」です。特に龍上海本店や栄屋本店など、全国的に有名な店は、休日や観光シーズンになると1時間以上待つことも珍しくありません。こうした待ち時間を避けて効率よく巡るためには、「時間帯の戦略」がカギになります。
基本的におすすめの時間帯は、**午前の開店直後(11時前後)と夕方のアイドルタイム(15時〜17時頃)**です。この時間を狙えば比較的スムーズに入店できる可能性が高まります。また、人気店は開店30分前から並び始めることもあるため、少し早めに現地に到着しておくと安心です。
また、複数店舗を巡る場合は、「近距離でまとめる」「昼と夜で地域を分ける」など、エリアごとにスケジュールを組むのがポイントです。例えば、午前は山形市内、午後は天童・寒河江方面、夜は蔵王温泉近く、というように効率よく移動できるように組み立てましょう。
食べ歩きの際は、1杯をシェアする、ミニサイズを選ぶ、スープを全部飲まないなど、満腹になりすぎないよう工夫することも大切です。無理なく、でもしっかり楽しめるのが理想のラーメン旅です。
車・公共交通の乗り継ぎと移動時間の目安
山形県は広大で、観光地やラーメン店も広いエリアに分散しています。そのため、効率的な移動手段を事前に計画しておくことが、食べ歩き旅を成功させるポイントです。
まず、移動の自由度を重視するならレンタカーが最適です。山形駅、新庄駅、米沢駅、庄内空港などにはレンタカー営業所があり、観光地や店舗間の移動もスムーズです。山道が多い地域もありますが、主要道路は整備されており、雪の季節を除けば比較的運転しやすい環境です。
一方、公共交通を使う場合は、JR奥羽本線や山形新幹線、各市の路線バスを組み合わせる形になります。例えば、山形駅〜赤湯(龍上海)間は新幹線で約40分、山形駅〜天童駅間はJRで約15分。蔵王温泉へは山形駅から直通バスが出ています。
公共交通での移動を計画する場合は、乗り継ぎ時間を含めて1日3~4箇所程度に絞るのが現実的です。また、地方の交通機関は本数が少ないこともあるため、前日までに時刻表を確認し、無駄のない動線を組んでおきましょう。
時間を味方につけて、焦らずゆったり巡るのが山形旅のスタイルです。
胃に優しいケア&食べ過ぎ防止テク
ラーメンの食べ歩き旅は、胃腸に負担がかかるのも事実。特に2杯目、3杯目となると、胃もたれや疲れを感じることがあります。そこで、旅をより快適に楽しむための“胃にやさしいテクニック”を紹介します。
まず、朝一杯目はあっさり系のラーメンから始めるのが基本です。米沢ラーメンや酒田ラーメンのように、あっさり醤油ベースの一杯は胃に優しく、食べやすい選択です。
また、1杯まるごとを無理に完食せず、スープを残す/麺をシェアするといった工夫で食べ過ぎを防げます。同行者と一緒にいくつかの店をまわる場合は、交代で注文して味見し合うと満足度も高まります。
胃腸薬を事前に用意しておくのも安心材料です。特に2泊3日など連続でラーメンを食べる場合、消化を助けるタイプの市販薬や胃の粘膜を守る薬を携帯しておくと、体調の変化にも対応しやすくなります。
ラーメン旅は“無理をしないこと”が成功の秘訣。食の楽しみを長く続けるためにも、自分のペースを大切にしましょう。
写真の撮り方とSNSで映える一杯
旅の思い出を残すうえで欠かせないのが“写真”。山形ラーメンは彩りや盛り付けにも個性があるため、SNS映えする写真を撮るには最適な対象です。ただし、美味しさが伝わる一枚を撮るにはいくつかのコツがあります。
まず、スマホでも十分ですが自然光がある時間帯を狙うと、スープの透明感や具材の色合いがより美しく映ります。窓側の席や、カウンターでも明るい場所を選ぶといいでしょう。
次に、撮影の構図。真正面からの「真俯瞰(トップダウン)」と、少し斜めからの「斜め45度ショット」は定番。チャーシューやメンマがしっかり写るよう、ラーメンの器の正面を整えてから撮影するのがポイントです。
また、「箸上げショット(麺リフト)」は臨場感があり、フォロワーからの反応も高め。熱々の湯気やとろけるワンタンなど、瞬間的な魅力を捉えることで、視覚的に“美味しそう”が伝わります。
撮影後は、冷めないうちにすぐ食べるのがマナー。お店や他のお客さんへの配慮も忘れずに、美味しさと礼儀のバランスを大切にしましょう。
まとめ
山形は、単なる「ご当地ラーメン」の枠を超えて、地域全体がラーメン文化で成り立っている特別な県です。冷やしラーメン、辛味噌ラーメン、米沢ラーメン、酒田ラーメンと、地域ごとに味わいや背景が異なるため、何度訪れても新しい発見があります。
今回ご紹介した日帰り・1泊2日・2泊3日の観光モデルコースでは、観光や温泉と組み合わせて、無理のないスケジュールでラーメンの魅力を深く味わえるように構成しました。実際に現地を訪れることで、ガイドブックやテレビでは伝わらない「地元の温かさ」や「ラーメンへの愛情」を肌で感じることができるはずです。
ラーメンマップやスタンプラリーを活用すれば、旅がより楽しく、達成感のあるものになるでしょう。そして何より、自分のペースでラーメンを巡り、体験を味わうその過程自体が、何よりの思い出となります。
「食べること」が旅のメインになる、そんな山形ラーメン旅をぜひあなたの次の旅行プランに加えてみてください。



